工事がスムーズに進むよう現場を管理する施工管理の仕事。AIの台頭や感染症流行などの影響でさまざまな仕事に変化が起きている今、施工管理の将来性が気になる方もいるかもしれません。
本記事では施工管理の将来性や今後の需要を解説します。施工管理の仕事で働くメリットも紹介しますので、施工管理への転職を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
建設業界の施工管理業務は、人手不足で需要に比べると供給が足りていない現状です。建設業界全体で人手が不足している状況であり、原因としては建設に携わる労働者の高齢化や労働人口の減少などが挙げられます。
施工管理業務では、特に若手の人手不足解消が喫緊の課題です。若手が不足している一因は建設業の労働環境が、いわゆる3K(きつい・汚い・危険)のイメージで見られていることが挙げられるでしょう。
そうした中、国土交通省が建設業の新3K(給与・休暇・希望)を実現する取り組みを開始(※1)。2024年4月には時間外労働の上限規制などが適用される「建設業界の働き方改革」も実施されるため、今後は施工管理業務だけでなく建設業界全体の労働環境改善も期待されています(※2)。
イメージや労働環境が変わると、人手不足が緩和される可能性もあるでしょう。
※1 出典:国土交通省「新3Kを実現するための直轄工事における取組」
※2 出典:国土交通省「建設業における働き方改革」
施工管理業務に対する需要は、今後も増えていくと予想されます。将来の見通しも明るいと言えるでしょう。なぜなら、建設業には人間の暮らしを支える重要な役目があり、人が生活している限り、水道・電気・道路・電線・建設などの生活基盤に関わる工事が欠かせないためです。
全国各地で老朽化した建物が増えていることも、需要が増える要因となるでしょう。老朽化した建物は修繕・解体のための工事が必要です。特に高度経済成長期やバブル期に建設された建物は今後、老朽化で修繕・解体工事が必要になってくると言われています。
地震や豪雨などの自然災害も多い日本では、災害で壊れた建築物の復旧・復興工事も欠かせません。国土交通省は、南海トラフ地震の30年以内の発生確率を70〜80%(2020年1月24日時点)、首都直下地震の30年以内の発生確率を70%程度(2020年1月24日時点)と予測しています(※)。自然災害は発生しないよう願いたいものです。しかし、災害大国の日本で復旧・復興工事の需要がなくなることは考えにくいでしょう。
また、ターミナル駅の周辺開発などの都市開発需要は今後も伸びていくと考えられます。他にも公共施設や民間施設の新規建設、さまざまなイベントの建設工事などが今後も続くでしょう。そうした建設工事全体を管理する施工管理の仕事は、今後も増えていくと考えられています。
※出典:国土交通省「国土交通白書 2020~第2節 地球環境・自然災害に関する予測」
施工管理技士とは国土交通大臣の指定機関が実施する「施工管理技術検定」試験に合格した人に与えられる称号・資格です。
資格がなくても施工管理として働くことは可能です。しかし、施工管理技士は国家資格であり、各工事現場に1人は施工管理技士の有資格者が必要とされているため、資格を持っていると多くの職場で重宝されるでしょう(※)。
のちほど詳しく紹介しますが、施工管理技士の資格には7種類があり、それぞれに1級と2級の2つの資格があります。
※出典:国土交通省「建設産業・不動産業:技術検定制度」
※出典:国土交通省「建設業許可制度(概要)」
施工管理技士として働くと次のようなメリットがあります。
1.難易度の高い仕事にチャレンジできる
2.昇給・昇格のチャンスがある
3.転職に有利になる
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
施工管理技士の資格を取得すると、より難易度の高い仕事へのチャレンジが可能です。例えば、1級を取得すると監理技術者や特定建設業の専任技術者、一般建設業の主任技術者として働けます。
2級の資格でも、一般建設業の専任技術者・主任技術者になることが可能です。専任技術者や監理技術者になると、仕事の幅が広がって責任のある仕事を任せてもらえるでしょう。責任のある仕事をするとやりがいも感じられるはずです。
なお、一般建設業と特定建設業は、発注者から直接請け負う工事1件につき、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結するかどうかで分けられます。4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上が特定建設業、それ以外が一般建設業です(※)。
施工管理技士の資格を取得すると、昇給・昇格のチャンスも広がるでしょう。前述したように各工事現場に1人は施工管理技士の有資格者が必要とされているため、企業にとって欠かせない人材となるためです。
また、施工管理技士がいると、経営事項審査で企業の得点に加算されます。経営事項審査とは、公共工事の入札に参加希望の建設企業が受ける審査です。発注者は入札参加企業の資格審査をする際、評価を点数化して企業の順位付けをしますが、施工管理技士がいると点数が加算されるのです。
得点は公共工事を受注するときの評価対象となるため、施工管理技士の有資格者がいると企業の評価向上に貢献します。施工管理技士の有資格者は、会社の利益に貢献できるため、企業によっては施工管理技士の資格取得者を昇給させるケースもあるでしょう。
施工管理技士を取得すると、転職も有利になるでしょう。前述したように有資格者がいることは、会社にとって大きなメリットとなるためです。
また企業は施工管理技士の有資格者を、現場をまとめるリーダーシップやコミュニケーション能力がある人材として評価する傾向があります。転職市場でも採用担当者に高く評価されるでしょう。
施工管理技士に向いているのは、次のような特徴がある人です。
・リーダーシップがある
・細かい部分に気を配れる
・ルールを守れる
・コミュニケーション能力が高い
・スタミナがある
それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
施工管理技士は現場を監督する立場です。そのため監督として、現場の人々を率いるリーダーシップが求められます。施工管理はリーダーとして現場の人々をやる気にさせて、工事をスムーズに進めなければなりません。学生時代に部活動でキャプテンを務めていた、前職で部下を管理する立場にいたなどの人に向いています。
施工管理は細かな部分までに気を配って安全管理しなければなりません。安全管理は危険と隣り合わせの建設現場ではきわめて重要な任務です。事故を防いで作業員の安全を確保するためには職人一人ひとりに目を配る必要があります。これくらい平気だろうなどと、考えていると事故につながりかねません。細かな部分にまで気を配ってリスク管理をしましょう。
施工管理技士は、建設業法が定めるルールに従って工事が遂行できるよう目を光らせておくことが必要です。ルールに違反するとさまざまな処分が与えられます。重大なルール違反があると、国土交通大臣や都道府県知事から営業禁止処分を下されることもあるため、ルールを守れるかどうかは重要な資質と言えます。(※)。
施工管理はコミュニケーション能力が求められる職種と言えます。施主や現場の職人、業者と関わる必要があるためです。さまざまな立場の人とうまくコミュニケーションできないと、工事がスムーズに進まないこともあります。コミュニケーション不足が原因で確認が不十分だと重大なミスや事故につながることもあるでしょう。他人とのコミュニケーションに抵抗がないことは施工管理技士の重要な資質です。
施工管理技士はスタミナ・体力が必要です。早朝から現場に出て、深夜まで働くことも少なくありません。まさに体が資本の仕事。スタミナ・体力がないと厳しいかもしれません。スタミナ・体力を養うためにもオンとオフを切り替え、オフのときにはしっかり休養を取ることも大切です。
国家資格である施工管理技士には以下の7種類があります。
・建築施工管技士
・建設機械施工管理技士
・管工事施工管理技士
・土木施工管理技士
・電気工事施工管理技士
・電気通信工事施工管理技士
・造園施工管理技士
それぞれの資格を詳しくみていきましょう。
建築施工管理技士とは、建築工事の施工計画や施工図作成、工程・品質管理を適切に行える技術があることを証明する資格です。建築施工管理技士は主に住宅やマンション、ビル、商業施設などの建築工事の現場で工事全体の監督を担当します。
建設機械施工管理技士は、建設機械を使った工事に関する資格です。建設機械施工管理技士の資格があるとクレーン車や油圧ショベル、ロードローラーやブルドーザーなどの建設機械を用いる建設現場での施工管理が可能になります。
管工事施工管理技士は上下水道や空調設備、ガス管やダクト工事など、ビルやマンションに設置される管・パイプ工事の施工管理を可能にする資格です。建設物に管は不可欠な存在であるため、需要の高い資格と言えるでしょう。
土木施工管理技士はトンネルや道路、ダムや橋など、主にインフラ設備の土木工事現場での施工管理が可能になる資格です。人々の生活基盤を支える、社会的貢献度の高い仕事と言えるでしょう。
電気工事施工管理技士は、変電・送電設備・照明・配線などのさまざまな電気工事で施工管理ができる資格です。ビルやマンションに電気は欠かせません。そのため電気工事施工技士は需要が高く、転職にも有利な資格と言えるでしょう。
電気通信工事施工管理技士は、モバイル通信の基地局設置や有線LAN・無線LANの工事、電波障害の解消や入退室管理システムの設備工事などの電気通信工事の施工管理が可能になる資格です。電気通信工事施工管理技士は2019年に新設された新しい資格ですが、インターネットやスマートフォンの普及で、今後の需要が増えていくと予想されています。
造園施工管理技士は、庭園・公園などの造園工事や、道路やビルの緑化工事での施工管理が可能になる資格です。造園分野は幅広いため、造園会社だけでなく土木会社や建設会社などでの活躍が期待できるでしょう。
※出典:国土交通省「技術検定試験について- 建設産業・不動産業」
施工管理の仕事は、人手不足の現状が続いています。特に施工管理技士の資格保有者は転職するにしても採用したい企業が多いはずです。施工管理の転職なら「建築求人.jp」の活用がおすすめです。施工管理以外にも、日本全国および海外の建築・土木・設備・設計関連の求人を豊富に扱っているため、あなたに合った転職先を選べるでしょう。建設、施工管理業界で働きたい方は、ぜひ「建築求人.jp」をご活用ください。
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