施工管理は、建築・土木作業の現場で働く作業に携わる多くの人をまとめながら、スケジュール通りに工事を進める旗振り役です。工事を無事完了させる必要のある責任重大なポジションですが、意外にも未経験からでも挑戦できます。
とはいえ施工管理の仕事内容や必要なスキルなどが分からないと、不安が多く応募するのは難しいでしょう。
そこで施工管理に興味がある方に向けて、具体的な仕事内容や魅力、向いている人の特徴から押さえておきたい留意点まで解説します。
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目次
施工管理は、工事の開始から完成に至るまでプロジェクト全体を指揮・管理するポジションです。職人や協力会社、クライアントなどとコミュニケーションを取りながら、現場責任者として工事を進めます。
四大管理(工程・品質・原価・安全)が主な仕事で、基本的には現場での業務が中心ですが、施工計画や施工図面の作成、資材の手配、行政への申請書作成、報告書作成などデスクワークも行います。
戸建住宅やアパートなどの小規模工事では、施工管理担当者が指揮を取ることがほとんどですが、商業施設やオフィスビルの建設など、大規模な工事の場合は土木や建築、造園、電気、給排水設備など、分野ごとに専門の施工管理担当者が管理します。
肉体労働が基本の建設業界は、他業界と比べると女性の比率は少ないものの、年々女性の活躍の場も広がっています。
国土交通省の「令和4年建設業活動実態調査の結果」によると、建設業で働く人は男性約16万人に対し、女性は約2万人と8分の1程度にとどまっています。施工管理においては、男性約12万人に対して女性は約8,000人と少数です。
しかし、前年比6.3%増とわずかながら上昇傾向にあります。国としても建設業界全体の高齢化に伴う人手不足問題の解決に向けて、若者や女性の建設業への入職・定着の促進に重点を置きつつ、働き方改革を推し進めるよう働きかけています。そのため、今後さらに女性の建設業界への進出が加速するでしょう。
多くの仕事をこなす必要のある施工管理ですが、実は資格がなくても働くことが可能です。建築施工管理技士や土木施工管理技士といった国家資格もありますが、未経験者採用であれば資格は必須ではありません。
ただし建設業法では、建設工事現場の各営業所に「2級以上の施工管理技士の有資格者を1名以上置くこと」と定められているため、受注件数アップのためには施工管理の有資格者が必要です。
有資格者は優遇されやすいので、キャリアアップのためにも資格獲得を目指すのがおすすめです。
また企業にとっても有資格者が増えることはメリットとなるため、社内勉強会や外部支援制度など、資格取得を促す制度が設けられているケースが多くなっています。
施工管理の仕事について概要が分かったところで、続いては施工管理に向いている人の特徴を紹介します。
次のいずれかに該当する方には適性があるかもしれないので、ぜひ応募を検討してみましょう。志望動機や自己PRの参考にもなるので、チェックしてみてください。
施工管理の仕事では多くの人と関わる機会が多いため、コミュニケーションが好きな人が適しています。
施工管理は、現場で働く職人さんやクライアント、協力会社など、幅広い人と調整・交渉を行うのが主な仕事です。中には自分を認めてくれない人や、年の離れた職人さんなどもいるため、ただ事務的にやり取りするだけではなく、自発的にコミュニケーションを図り、相手の懐に飛び込む能力が求められます。
また相手に合わせて適切なコミュニケーションが取れる人や、適度に距離を詰めるのが上手な人など、自然と歩み寄れる人が重宝されます。
施工管理の仕事は多岐にわたるため、幅広い知識が必要となり、コツコツと勉強を重ねられる人が適しています。特に未経験者の場合は「専門知識の習得」に加えて「施工管理技士資格の取得」も求められるため、多くの知識を蓄える必要があります。
もちろん会社からの補助・支援制度や、先輩からの手助けを受けられる場合もありますが、自発的に時間を作って勉強する姿勢が必要なことに変わりはありません。
また担当現場によって必要な知識が変わったり、新しい技術・素材の情報収集が必要だったりと、常に変化が起こる業界のため、学び続けられる人であることが大切です。
工期中にどのようなことが起こるか分からないため、その都度臨機応変に対応できる柔軟さも求められます。どれだけしっかり計画を立てていても、荒天や急な人員不足、作業ミスなど、スケジュールに悪影響を及ぼす予想外のできごとは発生するものです。
そのような場合でも納期・予算を超過するわけにはいかないので、突発的なトラブルにも柔軟に対応して、全体のスケジューリングを滞りなく進めるフットワークの軽さが必要です。
上司や周囲へ相談・報告できる人や、咄嗟に機転を利かせられる人、行動の選択肢が多い人など、幅広く対応できるタイプであれば仕事を進めやすいでしょう。
決められた工期を守るべく、プロジェクトの関係者をまとめるリーダーシップも、施工管理の仕事で大いに役立ちます。職人さんはもちろん、協力会社など、チーム全体を引っ張ってプロジェクトを成功に導く必要があるため、リーダー経験やチームワークで成し遂げた経験があれば、施工管理に生かせるでしょう。
もちろん一方的に指示するだけではついて来てもらえないため、相手の立場に配慮する姿勢も重要です。
そのため施工管理や業務上でのリーダー経験がなくとも、学生時代の部活やサークル、アルバイトなどでの経験が役に立つでしょう。
施工管理は多くの関係者と密にコミュニケーションを取りながら、工期に間に合うよう工事を進めていく大変な仕事ですが、大変さ以上に多くの魅力がある仕事でもあります。
どのような魅力があるのか、代表的な5つの点を紹介します。
工事が終わり建築物が完成したときに、大きな達成感を得られるのは、施工管理の仕事の大きな魅力です。
建設業は「地図に残る仕事」のため、自分が手掛けた工事による成果物が目に見える形で残ります。例えばランドマークとなるビルや商業施設、駅など、日頃多くの人が利用する大きな建築物に携われば、そこを通るたびに達成感を得られるでしょう。特に施工管理は図面作成から建物の引き渡しまで、全ての工程に携わるため、建築物に対する思い入れも人一倍大きなものとなります。
一人では作れない大きな建物を、チーム一丸となって作るためには多くの苦労を伴いますが、苦労が大きい分、その喜びもひとしおです。
人の役に立っている実感を持てるのも、施工管理の大きな魅力の一つです。
例えば一戸建て住宅やマンションを建てれば、そこで暮らす人の日々の生活に貢献できます。また大規模な商業施設などを建てれば、より多くの人の生活の利便性や楽しさに貢献できるでしょう。
他にも、道路や鉄道といったインフラ建設では、地域で暮らす多くの人の生活を支えることになります。実際に利用している人々の様子を見かけたり、グランドオープンの瞬間を見届けたりすると、自分の仕事を誇らしく思えるでしょう。
施工管理を含め建設業界全体が人手不足のため、就職先の選択肢が豊富にあるのも魅力だといえます。施工管理に限らず建設業界は高齢化が進んでおり、どの企業も若手の入職者を求めているのが現状です。
実際、厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によると、建設業の有効求人倍率は5.34倍となっています。有効求人倍率は求職者数と求人者数の比率で算出されるため、求職者数が少ないほど有効求人倍率は高くなります。1人の求職者に対して5社の募集枠がある状況なので、他の産業と比べても引く手あまたな状況です。
また施工管理技士は、法律上工事現場に必ず配置しなければならないため、建設業界の中でも特に求められる人材です。
出典:厚生労働省. 「一般職業紹介状況(令和5年10月分)について」.
平均給与額が高水準で、働いた分だけ多くの給与を得られるのも魅力です。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によると、施工管理者の平均年収は約620万円と高く、日本の平均年収を上回っています。ただし多くの資格を持つ資格手当が豊富な人や、残業代で給与が上乗せされているケースも含まれるため、この数字はあくまで平均的な給与額です。
未経験の場合は資格手当や残業の発生が少ないため、最初から600万円代の給与を目指すのは難しいでしょう。
経験を積んだり資格を取得したりして、キャリアアップしていくことが大切です。
施工管理士は、資格を取得することでキャリアアップが可能です。
施工管理には建築施工管理技士・土木施工管理技士といった国家資格があり、どちらも1級・2級に分かれます。
施工管理技士2級の資格取得で「小規模・中規模」の主任技術者になることができ、さらに施工管理技士1級の資格取得で「大規模」な建設現場の監理技術者を務められるようになります。
1級資格者が所属していると大きな工事を受注できるようになるため、会社からも優遇されやすく、給与・待遇面での向上を目指すなら資格取得がおすすめです。
施工管理の仕事には、資格の有無という明瞭な基準がキャリアアップに大きく影響するため、曖昧な基準での評価に悩む心配がなく、ひたむきな努力が評価されやすい職業といえるでしょう。
給与水準が高く多くのやりがいのある施工管理ですが、きつい仕事だといわれる部分もあります。どのような点がきついといわれるのか、押さえておきたい3つの留意点を紹介します。
施工管理技士の残業時間は、約35~50時間ほどが一般的で、残業が発生しがちな職種です。週5勤務換算だと、毎日1.75~2.5時間ほどは残業している計算です。
厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」によると、建設業における一般労働者の平均残業時間は「月13.3時間」ほどなので、建設業界の中でも残業が多い方といえます。
このように残業が常態的になっている理由として、業務量の多さが挙げられます。
施工管理技士はデスクワークも行う必要がありますが、日中は現場作業があるため、必然的に夕方~夜の時間帯に行わなければならず、残業が発生しがちです。また頻出するクライアントからの予期せぬ要望への対応や、人員不足も大きな要因となります。小規模な現場の担当になると、掛け持ちするケースが多く残業が必須になることもあります。
ただしIT技術の導入による生産効率アップにより、労働環境が改善される見込みです。
出典:厚生労働省. 「毎月勤労統計調査 令和5年8月分結果確報 “第2表 月間実労働時間及び出勤日数”」P7. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2308r/dl/pdf2308r.pdf , (2023-12-11).
建設業界では完全週休2日制の現場が少なく、週休1日制もしくは週休2日制の企業が多くなっています。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2022年の段階で「完全週休二日制以上」を取り入れている建設業界の企業は約35%と低く、ほとんどの企業で導入されていないのが現状です。
特に施工管理技士の場合「発注者からの依頼時点で日程がタイト」「トラブルや悪天候などによる作業の遅れを取り戻すための休日返上が必要」などが休日の少なさの原因となっています。
ただし2024年4月からは猶予が解除され、働き方改革関連法案が建設業界にも適用されるため、建設業界でも完全週休2日制が広まると予想されます。
施工管理技士は発注者と現場の間に立つため、どうしても板挟みになりやすく、人間関係にストレスを感じやすい傾向にあります。例えば「職人さんの質問に答えられず、きつい言葉を浴びせられた」「気が荒い職人さんに怯えてしまう」といったケースもあります。
一方で、クライアントからの要求もあり「職人さんにタイトなスケジュールで依頼せざるを得ないのが心苦しい」というストレスもあるでしょう。
施工管理の仕事は、ただでさえ関係者が多くコミュニケーションを取るのが難しいにもかかわらず、ときには対立する関係の板挟みになるケースもあるため、うまくバランスを取る器用さが求められます。
施工管理の仕事は未経験からでも始められるにもかかわらず、大きなやりがいや高水準の給与が望める仕事です。国家資格を取得すればスキルアップや転職がしやすくなるなど、評価基準が明瞭なのも大きな魅力です。勉強に抵抗がなく常に向上心を持って働ける人や、コミュニケーションが上手でチームをまとめられる人に適しています。
残業の多さや休日の少なさなどデメリットもありますが、建設業界のIT化による業務効率化や働き方改革の促進などで、徐々に改善されていくでしょう。
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