工事全体の責任者として作業員へ指示したり資材を発注したりする「施工管理」の仕事は、業務内容が多岐にわたる忙しい仕事です。
多忙なため「ブラック」なイメージがついてしまっている施工管理ですが、会社によってはワークライフバランスが取れているケースもあります。
施工管理がブラックだといわれやすい理由や一日の流れを紹介するとともに、働きやすい環境か否か見極めるポイントを解説します。
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目次
施工管理の仕事がブラックだといわれがちなのは、大きく5つの理由があります。
どのような点から、施工管理はブラックだといわれるのか解説します。
施工管理に限らず、建設業は休みの少ない職種です。
勤める会社によって異なるものの、2021年度に発表された国土交通省の調査によると、4週8休以上の建設業は全体の約12%となっています。
4週6休程度が最多の42%となっており、他産業では当たり前となっている週休2日が取れていないのが現状です。
2020年の年間出勤日数を見ると、建設業の場合、240日を超えています。働き方改革によって減少傾向にはあるものの、全産業の平均よりも12日間多く出勤しているというデータがあることから、建設業は比較的休みが少ない業界だといえます。
建設業の休みが少ないということは、必然的に施工管理の仕事も休日が少ないということになります。休息に充てられる日が少ないことで十分にリフレッシュできなかったり、疲れがたまりやすかったりすることで、ブラックだと感じやすい環境といえるでしょう。
※参考:国土交通省 .「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」」 .
残業時間が長い傾向にあるのも、ブラックな労働環境だといわれる理由の一つです。
国土交通省発表の同調査によると、2020年の全産業の実労働時間の平均が年間1,950時間を下回っているのに対し、建設業の実労働時間の平均は年間2,000時間を超えており、そこには90時間もの差があります。
約240日の年間出勤日数が1日8時間労働すると1,920時間働くことになるため、残った80時間以上は残業時間です。つまり、一日3時間は残業している計算になります。
数字にするとたったの3時間ではありますが、例えば毎日19時に帰宅するのと22時に帰宅するのでは、心身への負担は大きく異なるでしょう。
20年前と比較すると労働時間は減少傾向にありますが、他の産業に比べると減少幅が少なくなっているのが現状です。
施工管理の仕事は多岐にわたるため、なかなか定時までに終わらず長時間残業になりやすくなっています。
主な業務としては、下記のとおりです。
日中は現場監督の仕事や打ち合わせなどがあるため、事務作業を行えるのは夕方以降になってしまいます。
一日の現場作業が終わった後もデスクワークが残っているため、長時間残業に陥りやすい環境といえます。
サービス残業が常態化しているケースがあるのも、ブラックだといわれがちな要因です。
2022年4月に公開されたJUC(日本建設産業職員労働組合協議会)の「2021時短アンケートダイジェスト」によると、実際の残業時間と会社へ報告した残業時間に差がある人は、全体の29.6%に上りました。
つまり約3割の人がサービス残業を行っており、そのうち外勤が占める割合は42.1%です。
サービス残業を行う理由として、最も多かったのは「決められた上限時間を超えてしまうから」という回答でした。会社が労働時間の上限を設定することで、従業員が隠さざるを得ない状況になってしまうケースだと考えられます。
実際、残業時間が長いほど「時短ハラスメントを受けたことがある」「受けたことはないが、見聞きしたことがある」の割合が増加傾向にあり、残業時間が100時間を超える企業では50%以上となっています。
時短ハラスメントとは、具体的な方策がないまま残業の削減を強要すること。時短ハラスメントにより、残業時間を申告しにくくなっている可能性があるでしょう。
他にも「サービス残業が当たり前の雰囲気が会社全体にある」「サービス残業が当たり前の雰囲気が職場にある」という回答も見られます。
残業時間を正確に申告しにくい、会社・現場にサービス残業が当たり前の風潮があるなどの要因によって、サービス残業が常態化しているケースもあると考えられます。
※参考:日本建設産業職員労働組合協議会. 「2021時短アンケートダイジェスト」.
人間関係でストレスを感じやすいのも、施工管理がブラックになりがちな原因です。
施工管理は調整役になるため、上司や作業員・職人、クライアント、関連業者、周辺住民など、多くの人と関わりを持たなくてはならず、人間関係でストレスを抱えやすい仕事です。
例えば周辺住民のクレーム対応に追われたり、クライアントから要求された難易度の高い要求を職人に断られたりなど、どうしても板挟みになりやすくなっています。
とはいえ納期があるためスケジュール通りに進めていく必要があり、関係各位の要望を聞きつつも現実的な落としどころを見つける必要があります。
スムーズに作業を進めるには、円滑な人間関係を築かなくてはなりません。人間関係での悩みが多くなりがちなため、神経をすり減らしやすい仕事だといえるでしょう。
多忙といわれる施工管理ですが、具体的にどのように働いているのか、一日の主な流れを紹介します。
一般的な施工管理のスケジュールは、以下のとおりです。
※あくまで一例であり、実際には所属する企業や現場、シーズンなどによって異なります。
出勤場所はその日のスケジュールなどによって異なる場合が多いです。一度本社・事務所などに出勤してから現場に向かう場合もあれば、自宅から現場へ直行する場合もあります。
日中は工事が滞りなく進むように現場を巡回したり指示を出したりしながら、必要に応じて打ち合わせや事務作業などを行います。
片付けきれなかった事務作業は、前述したように工事が終了してから行うため、どうしても残業が発生しがちです。
ブラックな労働環境になりがちな施工管理の仕事ですが、全ての施工管理がブラックという訳ではありません。
ワークライフバランスの取れた環境で働けるように、働きやすい職場の施工管理か見極めるポイントを解説します。
施工管理の仕事を探す際は、求人内容をしっかりと確認し、ホワイトな労働環境か見極めましょう。
求人内容の中でも、特に注目すべきは以下の2点です。
給与面は、理想の給与額を明確にしておき、条件を満たしているかチェックしましょう。一見給与額が高いようにみえても、実働時間が長いケースもあるため要注意です。資格手当がある企業であれば、ベースの給与に上乗せされるため、比較的稼ぎやすいでしょう。
休日については、しっかりと休みを確保したいのであれば「完全週休2日制」の求人を探しましょう。「週休2日制」は、月に1回は週2回の休みがあるという意味なので、必ずしも毎週2日間の休みがあるとは限りません。
中には休日が少ない分、労働時間が短いケースもあるため、休日日数・労働時間のバランスを確認しましょう。
積極的に働き方改革へ取り組んでいるかどうかも、確認すべき重要なポイントです。建設業界は先述のとおり長時間労働や休日日数の少なさなどブラック環境が常態化しており、少子化による労働者不足も相まって、人手不足が加速しています。こうした現状を改善するため、国土交通省を中心に「建設業働き方改革加速化プログラム」が推進されています。
求人票をチェックする際は、働き方改革に対してどのように取り組んでいるか確認しましょう。建設業働き方改革加速化プログラムの概要・具体策は、以下のとおりです。
長時間労働の是正 | •週休2日制の導入を後押し(働き方改革に積極的な企業の評価・モデルケースの見える化) •各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進 |
給与・社会保険の整備 | •技能・経験に見合った給与・待遇を実現する(正確に評価するため建設技能者の能力評価制度を策定) •社会保険への加入を建設業のミニマムスタンダードにする(社会保険に未加入だと建設業の許可・更新を認めない) |
生産性の向上 | •生産性向上に取り組む建設企業を後押し(i-Constructionの推進によりロボットやドローンを導入) •仕事を効率化する(申請手続きの電子化・IoTや新技術の導入など) •限られた人材・資機材の効率的な活用を促進 •下請次数削減方策を検討する |
働き方改革の推進はこれまで大手企業が対象の中心となって行われていましたが、2024年からは中小企業も含め、本格始動することになっています。
働き方改革により、現在の日本では、時間外労働の上限が規制されています。ところが建設業においては、働き方改革関連法の施行後も、残業への上限規制に猶予が設けられていました。この猶予期間は2024年4月に終了するため、以降は中小企業もホワイトな労働環境になると期待されています。
※参考:国土交通省. 「建設業働き方改革加速化プログラム」.
※参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署. 「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)」.
実際に働いている人に、労働環境や働きやすさを聞いてみるのも一つの手です。知人や仕事仲間の中に気になる企業とのつながりのある人がいれば、ぜひ相談してみてください。実際の労働環境を知れ、自分が働く姿をイメージしやすくなるでしょう。
繁忙期の実態や人間関係など、実際に働いてみないと分からない情報は多くあります。求人票からは得られない「生の声」を聞けると、大いに参考になるはずです。
SNSや口コミサイトなどを確認してみる方法もあります。気になる企業の内情を知っている人が周囲にいない場合は、SNSや企業の口コミ情報をまとめたWebサイトなどで情報収集してみましょう。
実際に働く人の様子が伺えるので、一つの参考になります。
ただし事実が書かれているとは限らないため、鵜呑みにはせず、あくまで参考程度にとどめておくのがおすすめです。
ホワイトな労働環境かどうかを見極めるには、企業の規模も重要です。
中小企業は人的リソースが限られているため、どうしても少人数で仕事を回すことになりやすく、施工管理の業務量が多くなりがちです。残業時間の長さや、休日日数の少なさにつながりやすいでしょう。
対して大手企業は、労働者が多く業務量を調整しやすいため、業務負担が重くなりにくくなっています。
規模の大きな会社ほど労働基準法の遵守や、働き方改革の推進に積極的なため、ワークライフバランスの整った労働環境である可能性が高くなっています。
とはいえ会社の規模だけでは判断できないため、あくまで一つの要素として覚えておきましょう。
会社そのものの規模だけでなく、現場の規模感も大事なチェックポイントです。大規模な現場であるほど関係者・関係企業の数が多く、管理が難しくなります。現場全体を把握して滞りなく進めるには、スキルや経験が必要です。
対して小規模な現場であれば、比較的管理業務を行いやすく、仕事としての難易度は下がる傾向にあります。
基本的には大手企業ほど給与・待遇が良いものの難易度の高い現場が多くなり、中小企業ほど管理しやすい現場が多くなるでしょう。
現場の規模感によっても働きやすさは異なってくるので、どのような現場が多いのか、求人票や公式サイト、口コミなどから確認しましょう。
施工管理に限らず建設業界は休日が少なく労働時間が長い傾向にあるため、ブラックな労働環境に陥りがちです。中でも施工管理は業務量が多いことから、長時間労働になりやすい仕事といえます。しかし施工管理という職種全体がブラックな訳ではありません。これから転職を考えている施行管理の方は、きちんとポイントを押さえて働き先を探し、自分に合った職場を選ぶことで、快適な労働環境を手に入れられるでしょう。
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