施工管理技士などの建築技術士の転職で大切になるのが、「工事経歴書」の書き方です。工事経歴書は書き方次第で採用試験の合否や入社後の待遇も左右するとされているため、しっかりと取り組む必要があります。
本記事では建設業界で働く方向けに、工事経歴書の書き方や、職務履歴書との違い、書くときに大切なポイントを紹介します。転職を成功させて、施工管理技士としてのステップアップを希望している方は、最後まで読んで参考にしてみてください。
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工事経歴書と言えば、建設業許可申請や決算変更届などを提出する際に添付する、「事業年度1年間の工事実績」を記載した書類を指すことが多いでしょう。
しかし、転職の際に必要な工事経歴書と、申請用の工事経歴書は異なるものです。今回取り上げる工事経歴書は、施工管理技士の転職に欠かせないもので、転職先にこれまで自身が担当した現場の「工事内容・工法・規模・請負金額・担当業務」などを知らせる書類を指します。
一般的な転職活動では、転職先の企業や転職エージェントに「履歴書」や「職務経歴書」を提出するだけです。しかし、施工管理技士などの建築技術職の転職では、それらとともに「工事経歴書」の提出を求められるケースが大半です。
建設業界では「工事経歴書」の書き方次第で、採用面接に進めるかどうか、内定をもらえるか否かにつながるとされています。さらに「工事経歴書」次第で、入社後の給与やボーナスなどの待遇、役職などにも影響する可能性があるとも言われています。
施行管理技士などの建築技術職の方が転職を成功させたいなら、工事経歴書は決しておろそかにはできません。
建築業界で初めて転職活動をする方や転職経験の少ない方が、よく戸惑ってしまうのが「工事経歴書」と「職務履歴書」の違いです。ここではそれぞれの違いを詳しく紹介しましょう。
「職務経歴書」とは、新卒で社会人になってから現在までに就業してきた会社の事業の概要や担当業務、保有資格やスキル、自己PRなどを記載する書類です。
履歴書と違い、自身の経歴に合わせてフォーマットを選択でき、表現の仕方にも自由度があります。「これまでの経験やスキルを活かして、どのような貢献ができるのか」を自己PRすることもあるでしょう。
一般的に職務経歴書では、工事経歴書のように携わった現場の詳細は記載しません。履歴書に記載しきれなかった詳しい職歴をアピールするためのツールが職務経歴書と言えるでしょう。
一方、今回のテーマである「工事経歴書」は、これまでに担当してきた現場についての詳細を記載する書類です。
記載内容の詳細は後述しますが、実際にやってきた工事の詳細(工事名・工事場所・工事内容・工期・請負金額など)を記し、それぞれの現場で自分がどのような立場でかかわったかを書きます。
工事経歴書は採用企業が、応募者の「工事現場での経験」や「専門的なスキル」や経験値を判断するための書類です。工事経歴書では「どのような貢献ができるのか」などの自己PRは記入しません。
工事経歴書ではあくまで応募者自身が実際に経験してきた事実に基づいて、実績や経験をアピールするもの。具体的な事実を書くことで、採用担当者に工事のイメージを鮮明に抱かせ、施工管理技士としての経験をダイレクトに伝える書類です。
施工管理技士の転職で工事経歴書が重要なのは、前述したように工事経歴書の内容によって採用試験の合否や入社後の待遇が決まることもあるためです。それではなぜ、工事経歴書の内容がそこまで重要視されているのでしょうか。
それは採用担当者が、工事経歴書の内容によって応募者が即戦力になり得る人材かどうかを判断するためです。建設業界で中途採用者を募集する目的は即戦力の確保に他なりません。
ご存じのように建設業界は慢性的かつ圧倒的な人手不足が続いており、中途採用市場は活況を呈しています。特に一定の経験を持つミドル層のニーズが高い傾向です。
ミドル層に求められているのが経験値や判断力・マネジメント力・折衝力などのスキルです。そうしたスキルと経験値とスキルがあると判断されると、すぐに活躍できる即戦力と認められます。
応募者が多く人材も豊富な大手ゼネコンなら、研修期間を経て3〜4年後に活躍するのを期待して、人材をじっくり育てる余裕もあるでしょう。しかし、人手不足に悩む多くの企業は即戦力を求めています。
応募者が即戦力となり得る人材かどうかを判断する材料が工事経歴書です。慢性的な人手不足の中、即戦力の人材を他社に奪われたくはありません。工事経歴書が充実している人材を好待遇で迎えるのはそのためです。
施工管理技士などの建築技術職が、工事経歴書に記載すべき項目は次のようなものです。
・注文者
・工事名
・請負代金の額
・工期
・業務内容・担当業務
その他に「規模・工法」などを書く場合もありますが、基本的な項目は原則として上記の5つです。それぞれを簡単に紹介します。
「注文者」は、対象となる工事の請負契約の相手方です。施主からの依頼で工事を請け負った場合は、請負契約を施主と締結しているため、注文者は「施主」です。
下請工事業者として現場に入る場合には、元請工事業者の企業名を記入します。施主が個人の場合には、氏名が特定されない書き方(山田太郎→個人Y)をするとよいでしょう。
工事名の欄には、請負契約書や注文書・請書などに記載されている工事名を記載します。
正式な工事名が不明な場合や、「Aアパート工事」など工事内容がわからない場合もあります。その際には何の工事か分かるよう具体的に記載しましょう。「Aアパート電気工事」「Aアパート屋根補修工事」などです。
工事の請負代金を記入します。請負代金の記入は税込・税抜どちらでも構いませんが、一つの書類ではどちらかに統一しておきましょう。
複数の建設企業が、一つの建設工事を受注・施工するJV(ジョイントベンチャー)として行った工事の場合、請負代金の額に自社で分担した工事額、または出資割合に応じた額を記載します。
工事の期間を記載します。工期は着工年月と完成年月に分けて記入するのが一般的です。JVの場合にはプロジェクト全体の工期ではなく、自社が携わった工事期間を記入するとよいでしょう。
実際にどのような立場で、どのような業務を行ってきたのかを具体的に記載します。例えば土木施工管理技士であれば「現場代理人兼監理技術者(立場)。現場管理・測量・出来形・品質・原価管理(業務)」などです。「主任」などの責任ある立場で携わったなら役職も記載してください。
工事経歴書は書き方も重要です。長々とした要領を得ない文章で提出すると、文章作成能力や書類作成能力が劣る施工管理技士だと思われて、マイナス材料となってしまうためです。ここでは工事経歴書の作成に当たり、気を付けておきたい4つのポイントを紹介します。
工事経歴書には具体的な数値を盛り込みましょう。数字を使っての表現は社会人に必須のスキルです。極端な例ですが、業務の改善でも「処理業務がとても改善された」と抽象的に書くより「処理速度が1.5倍になった」と数字を盛り込む方が具体的に伝わります。
建設業ではさまざまな事象を数値で説明することが可能です。施工管理の業務や技術力、難易度は現場によって異なります。曖昧さを避けるため、具体的な数字を記載して採用担当者に的確に情報を伝えるようにしてください。
多くの応募書類に目を通す採用担当者に、長々とした文章でアピールしても読んでもらえるとは限りません。なるべく簡潔でシンプルな表現を心掛けましょう。
上記の「数値を盛り込む」のも簡潔に伝えるためです。施工管理士の経験が長い方は経験量が豊富なため、工事経歴の量も多くなります。その際も表に箇条書きするなどのシンプルな表現が好まれます。
どのような立場で現場にかかわったのかも明確にしておきましょう。「現場担当者」なのか「主任技術者補佐」なのか「現場代理人補佐」なのかによって業務に対する理解度や責任の重さは変わってきます。
担当した工事が「公共工事」か「民間工事か」も明確にしておくとよいでしょう。「発注サイド」なのか、「元請・下請け」かによって採用担当者の印象は変わってきます。虚偽にならないよう注意して正確に記載しましょう。
施工管理業者士が転職を希望する際は、工事経歴書だけでなく、履歴書や職務経歴書も提出します。それぞれに記載する内容には整合性が必要です。
工事経歴書の記載が他の書類の記載と異なっていると、採用担当者が混乱します。適当な人物と思われてしまう可能性もあるため、履歴書・職務経歴書・工事経歴書の提出書類の内容には齟齬がないようにすることが大切です。書類を提出する前に今一度、それぞれの整合性を確認しておきましょう。
工事経歴書は建築業界で転職する際に、合否のカギを握る重要な書類です。あなたがどのような現場で、どのような業務に携わっていたかを明確に記入しましょう。それによって採用企業に「即戦力」だと判断してもらえると、採用確率もアップするはずです。入社後の待遇も良くなるかもしれません。
転職によってキャリアアップした施工管理技士の方々は、皆さん工事経歴書の記載の仕方がうまく、経歴をしっかりと伝えられています。伝わる工事経歴書を書くには、簡潔で具体的な表記を心掛けることが大切です。書き方一つであなたへの評価も変わってくるため、時間をかけて取り組んでみましょう。
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