国土交通省は2018年3月、建設業界の働き方改革を加速させるための「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しました。
プログラムでは「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」の3つの分野に対して新たな施策を設けており、建設業界全体での取り組みが求められています。
そこで今回は、建設業働き方改革加速化プログラムによって建設業界の働き方がどう変わるのか、気になるポイントをまとめました。
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目次
現在、政府は少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少や、働くスタイルの多様化などの課題に取り組むため、国を挙げて働き方改革に取り組む姿勢を見せています。
なかでも早急な働き方改革を求められているのが建設業界です。
建設業界はほかの業界に比べて労働上の問題を多数抱えていることから、別途「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、早急な改革を後押しされています。
建設業界がとくに働き方改革を求められている理由は、大きくわけて4つあります。
総務省によると、平成27年時点の建設業就業者数は55歳以上が33.8%を占める一方、30歳未満の働き手はわずか10.8%に留まっています。[注1]
10年後、現在55歳以上の建設技能労働者が定年退職などで離職した場合、建設業に携わる働き手が一気に不足する可能性があります。
[注1]厚生労働省:第8表 年齢階級別就業者数の推移(建設業)
建設業界における男性労働者の年間賃金総支給額は近年上昇傾向にあるものの、ほかの業種に比べると、その水準は決して高いとは言えません。
たとえば製造業に携わる男性労働者と比べると、年間賃金総支給額は約5%も低く、人手不足を増長する原因となっています。[注2]
建設業界はほかの業界と比べて実労働時間が長く、製造業と比べると年間105時間、全産業の平均と比較すると、336時間も長く働いています。[注3]
年間出勤日数の推移を見ても、製造業より17日間、全産業平均より29日間も多く働いており、建設工事全体では約5割にあたる労働者が4週4休以下という過酷な労働環境を強いられています。
保険(雇用保険・健康保険・厚生年金)の加入割合は数年前に比べると上昇していますが、平成29年においても100%には至っておらず、企業別では97%、労働者別では85%に留まっています。[注4]
とくに下請けになるほど保険加入率が低下する傾向にあり、安定した労働環境が求められています。
建設業界が抱える労働上の問題を解決するために策定された建設業働き方改革加速化プログラムにより、建設業界の働き方は今後大きく変わっていきます。
ここでは働き方改革によって変わるポイントを3つご紹介します。
2019年4月より順次施行されている時間外労働規制の施行ですが、建設業界では施行までの5年の猶予期間が設けられています。
しかし、働き方改革加速化プログラムでは、規制の施行を待たず、長時間労働の是正と週休2日の確保を後押ししています。
各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する、週休2日のモデル工事を試行するなど、さまざまな取り組みを行うことで、実労働時間の縮小および週休2日制の導入を推進します。
現在建設業界で働いている人に対して適切な評価を行うとともに、給与水準の引き上げによって若手入職者の増大を図る取り組みが進められます。
具体的には、建設技能者の能力評価制度や、建設キャリアアップシステムの導入などです。これらの取り組みにより、技能や経験にふさわしい給与の実現を目指します。
また、社会保険に加入していない建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築するなど、社会保険への加入が当たり前となる環境を整備します。
現場技術者が将来的に減少することを考慮し、限られた人材で効率よく働けるよう、生産性の向上を図ります。
建設生産システムの全ての段階において通信技術を活用したコミュニケーション(ICT)を推進する、建設リカレント教育を普及させて建設業従業者の人材育成を進めるなど、建設業界全体の生産性をアップする取り組みが行われます。
さらに、IoT技術、いわゆるモノのインターネットの導入も推進し、作業の効率化を図ることで、従業者1人あたりの負担軽減を目指すのです。
建設業界はこれまで、長時間労働の常態化や、給与水準の低さ、働き手不足など、多数の問題を抱えていました。
政府は全産業に対して働き方改革の推進を求めていますが、とくに建設業界には働き方改革を加速化するプログラムを策定し、迅速かつ抜本的な改革を後押ししています。
建設業界の働き方改革が進めば、現在建設業に携わっている方の待遇が是正されるのはもちろん、新たな働き手が増え、建設業界全体の活性化につながることが期待されています。
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